「祐一く〜ん!」
商店街であゆは、元気良く祐一の名を叫び、いきおいよく走ってくる。
「祐一くん、祐一く〜ん」
二度三度祐一の名を叫ぶと、あゆは思いっきり大地を蹴った。
「フェ〜ド・インッ!」
祐一は素早く身をかわすと、いきおい余ったあゆが豪快に顔で地面を掘っていた。
「そんなことばかりやってると、お前いつか鼻がなくなるぞ……」
「うぐぅ〜……よけたぁ……。祐一くんがボクの事よけたぁ〜……」
「よけたじゃない! まったく、お前はもう少しましな登場のしかたが出来ないのか?」
「そんな事言っても……ボク登場する前に笛とか太鼓とか鳴らしたり出来ないもん……」
「……とにかく、もっと違う登場の仕方を考えろ」
「うぐぅ、わかったよ……」
しばらく考えこんでいたあゆは、不意に手を叩いた。
「そうだ、祐一くん。こう言うのはどうかな?」
マイトガイン登場風
ちゃ〜んちゃ〜ん、ちゃ〜ちゃっちゃっちゃ〜。
ちゃ〜んちゃ〜ん、ちゃ〜ちゃっちゃっちゃ〜。
「白い翼のリュックを背負い、たい焼き抱えて走り去る。赤いカチューシャ月宮あゆ。何かを探してただいま参上!」
ジョーズ登場風
で〜れん……。
で〜れん……。
で〜れん、で〜れん、でんでん……。
でん、でん、でん、でん、でん、でん、でん、でん……。
きゅるきゅるきゅるきゅるきゅるきゅるきゅるきゅる……。
「祐一く〜ん!」
「うわあっ!」
「他にも高いところから笑い声と共に現われて、そこから飛び降りてくる、って言うのがあるけど……」
「それじゃお前の場合、洒落にならんだろ」
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