商店街をすぎ、公園へと向かう遊歩道。ここに埋まっているであろう大事な探し物を見つけるために祐一たちは集まっていた。
「ふおおぉぉぅ……」
これが自分の見せ場だ、と言わんばかりに北川が右手に必要以上の気合いを込める。
「俺のこの手が光って唸る……天使をつかめと轟き叫ぶぅ〜っ!」
北川は目の前の地面をキッと睨みつけた。
「くらえっ! 爆熱、ゴッドフィンガァー!」
北川は一気に右手をつきこむと、土中の人形をつかみ出した。
「それだっ! その人形だ」
七年ぶりに見る天使の人形に、祐一は喜んだ。
「見つかってよかったね、祐一」
名雪も一緒に喜んだ。
「ヒィート、エンドォーッ!」
だが、次の瞬間、北川の手の中で天使の人形は見るも無残な姿に変わった。
「あ……あああ……」
あまりの衝撃に、祐一は声も出なかった。
「あ、やべぇ……。ついクセで……」
「と……とにかく見つかって良かったわね、相沢くん。じゃ……じゃあ、わたし達はこれで帰るわね。行くわよ、北川くん」
「お……おう」
香里と北川が帰ると、後には祐一と名雪と、ぼろぼろになった天使の人形が残された。
「どうすんだよ……こんなぼろぼろにしちまって……」
「祐一……わたしが直してあげようか?」
「出来るのか? 名雪」
なんとなく祐一は、ひとすじの光明を見たような気がした。
「うん、三日ぐらいかかっちゃうけど……いい?」
「なんだ? その三日って言うのは……」
「直すのに一日……あとは魂を込めるのに二日ってとこかな……」
魂って言うのはなんだ、と祐一は思った。
「……魂の部分は、いらないんじゃないのか?」
「だめだよっ! 祐一」
名雪の迫力に、祐一はびっくりした。
「お裁縫は、一針一針に心をこめてするんだよ。それにこのままじゃ、この子だって可哀想だよ」
名雪の妙な迫力に圧倒されてしまい、思わず了承してしまう祐一であった。
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