かって、おごって、つきあって
「ほら行くぞ〜、お前たち」
「わっわ、祐一待ってよう」
「うぐぅ、祐一くん待ってよ」
「こらぁ、真琴を置いていかないでよ!」
いつもの朝、いつもの登校風景。祐一と水瀬家ご一行は、揃って学校に向かっていた。
「おはよう、相沢くん。名雪、みんな」
「皆さん、おはようございます」
「おはよう、香里、栞」
珍しく歩いて登校する最中に、香里たちと出会った。祐一の挨拶に続いて名雪たちも挨拶をする。
「あ〜、祐一さんだ〜。おはようございます」
「……………」
続いていつも元気な佐祐理と、機嫌がいいのかどうかもわからない舞の二人に出会い、祐一たちは挨拶を交わした。
「皆さんおはようございます」
そして、美汐がやたらと丁寧な挨拶をした。
「それにしても、よくもまあここまで揃ったわね……」
総勢九人の大所帯で登校する姿は、どう見ても異様であった。その姿に香里は、思わずうめいた。
「ところで、相沢くん」
「なんだ? 香里」
「誰が相沢くんの本命なのかしら?」
香里の投げた爆弾に、一同は凍りついた。
「いやあ……それは……」
祐一は笑ってその場をしのごうとしたが、周囲にはそれを許さない雰囲気があった。
「相沢くんは栞に『お兄ちゃんと呼べ』って言ったそうじゃないの……」
「祐一さんは、私の命の恩人なんですよ!」
「あう〜、祐一は真琴と結婚したの」
「祐一、一緒に暮らすって言った……」
「うぐぅ、ボクの願いは……」
「あはは〜、祐一さんは佐祐理に『合格』って言ってくれましたよ」
「ひどいです相沢さん。そんな酷な事はないでしょう……」
「え〜と、俺はみんなの事が好き。それじゃだめか?」
「「「「「「「だめにきまってるでしょ〜っ!」」」」」」」
「らすとりぐれっつ〜……」
こうして、みんなの怒りを買って、みんなが怒って、最後にどつきあって祐一は、奇妙な叫び声と共にお空の星になった。
「雪……積もってるよ……」
「名雪……?」
「わたし消さないよ……。だから、あの言葉ずっと残ってるよ。祐一、それでもいいの? わたしに頷いてくれる?」
「当たり前じゃないか、名雪」
「よかった……」
祐一はそのまま、名雪の体を抱きしめた。
(祐一、ゲットだよ〜)
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