あゆの誕生日
「あゆ、誕生日おめでとう!」
「ありがとう祐一くん」
今日は一月七日、あゆの誕生日である。ちなみにいくつになったのかは、某謎ジャム女性と同じく秘密である。
「早速だがあゆ、プレゼントだ」
「ええっ? なにかな…」
「俺」
「えっ!?」
二人は、静かに見つめあった。
見つめあう二人の瞳には、お互いの姿がはっきりと映っていた。
やがて二人はゆっくりとお互いの腰に手を回し、あつい抱擁を交わすのだった。
「ところでさ、祐一……」
突然背後からかかった声に、祐一は凍りついた。
「わたしの誕生日のときも、それだったよね…」
そこには名雪が、素敵な笑顔で立っていた。
「そういえば真琴もだよ。ねっ、美汐」
「えっ?」
真琴に同意を求められ、美汐は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「そういえば佐祐理も…」
「あらあら…」
佐祐理に続いて、何故か秋子さんまで顔を真っ赤にしていた。
「祐一くん…」
そのときのあゆの声は、まるで地の底から響いてくるようだった。
「これは、どういう事なのかな?」
あゆはこれ以上ないくらいに、とびきりの笑顔で祐一を見た。
その夜のあゆは、まるで悪魔のようだったと、後に祐一は語った。
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