ここは水瀬家。ある日のキッチン。
「下ごしらえは、これでよし……」
口許に笑みを浮かべつつ、黒光りするものを取り出す祐一。
「……そろそろこいつの出番ですね、秋子さん」
今夜は…
「祐一さん、それ……」
先端部分が膨らんだ、黒くて、太くて、大きなものに秋子の眼が釘付けになる。
「……随分立派なのをお持ちなんですね……」
それは、こういうものは見慣れているはずの秋子が、思わず見惚れてしまうほど立派なものだった。
「じゃ、いきますよ。秋子さん」
まるで弄ぶかのように、祐一は棒の先端部で軽く何度も突く。すると棒の先端部にあふれ出た粘液が絡みつき、滑りが良くなりはじめる。
そろそろころあいと見て取ったのか、祐一は腰を使い、激しく動かしはじめた。
「いいわ、祐一さん。その調子……」
祐一の激しい動きにあわせるように二人分の体重がかけられたテーブルがぎしぎしと悲鳴をあげはじめ、必死に支える秋子の額にもうっすらと汗がにじみはじめている。
「祐一さん、もっとえぐるように……」
「こうですか?」
棒の先端部分と内側の襞が激しく擦れあい、祐一の激しい動きを全身で受け止めている秋子の体に凄まじい振動が襲いかかってくる。
「ああ……いいわ。ごりっ、ごりって響いて……」
秋子の求めに応じ、激しく動いていた祐一ではあるが、流石にそろそろ限界だ。
「まだですか? 秋子さん……」
「もう少し……もう少しですから……」
祐一は歯をくいしばり、必死に耐える。
「秋子さん?」
「まだです。もう少しがんばってください」
「くっ……」
とはいえ、祐一ももうすでに限界だ。だが、ここでがんばらなければ、秋子を悲しませる事になってしまう。
だから祐一は辛い体に鞭を打ち、なおも激しく動かし続けた。
「祐一さんっ!」
「秋子さんっ!」
ついにフィニッシュを迎え、祐一はゆっくりと動きを止める。全身を襲う疲労感と共に、倦怠感が襲いかかってくる。だが、その一方で祐一の体は、一つの物事をやり遂げたという達成感に満たされていくのだった。
「はじめてにしては、お上手でしたよ。祐一さん」
秋子は、うっとりとしたような表情で祐一を見た。
「力強くて、たくましくて……。それに、こんなに濃いのをいっぱい……」
若いっていいですね、といいつつ秋子は棒の先端に残る粘液のカスを、唇をすぼめ、ちゅっちゅっ、と吸い取る。
「あっ!」
「ふふ……いいわぁ。濃くって……美味しくって……」
その妖艶な微笑みに、祐一は背筋に戦慄が走るのを感じた。
「ただいま〜」
そのとき玄関から明るい声が響き、たとたとと言う足音が近づいてくる。
「ただいま、お母さん。祐一」
「お帰りなさい。名雪」
「おかえり」
キッチンの様子を見に来た名雪は、その中の光景に思わず目を見張った。
「祐一……それ……」
「ああ。名雪は見るの、はじめてか?」
「うん……」
先端部分が軽く膨らんだ黒光りするものには、名雪の目も釘付けだ。
「はじめて見たよ……。そんな大きなすりこぎ……」
「今夜はとろろ汁ですよ」
そしてはじまる、一家団欒のひと時。
「ふふ。祐一さんたら、こんなに濃いのをいっぱいかけてくれるなんて……」
「祐一〜。わたしにもかけてぇ〜」
くどいようだが、今夜はとろろ汁である。親子どんぶりなどではない。
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