こどもの日
五月五日はこどもの日。
男の子の節句でもあるこの日は、本来は女の子の節句であった。
田植をする前に、早乙女と呼ばれる苗を植える若い娘達の穢れを払い、田の神に五穀豊穣を祈願する行事であった。
平安時代まではそうした行事であったが、武家社会となる鎌倉時代にはいると、邪気払いに使われる菖蒲を尚武(武を重んずるという意味)に通じるとして男の子の節句となり、それが現在まで受け継がれているのである。
ちなみに鯉のぼりを飾るのは江戸時代からの風習で、黄河の龍門を登りきり、見事龍に転じた鯉にあやかって、子供の立身出世を願って立てるようになったという。
そして、この日は柏餅やちまきを食べ、無病息災を祈願するのである。
この日祐一は佐祐理の誕生日を祝うため、倉田邸に招かれていた。
「どうです? 祐一さん。佐祐理の柏餅、美味しいですか?」
「はい、最高ですよ……」
モチモチとした弾力と、しっかりとした歯ごたえ。口の中にいれた粒の小気味よさもあいまって、まさしく最高の出来だ。
「どうですか? 佐祐理さん」
「はい……祐一さんのちまき、美味しいです……」
祐一の用意したちまきを口いっぱいに頬張り、なんともうっとりとしたような声を上げる佐祐理。
「はふぅ……もう佐祐理、おなかいっぱいですぅ……」
「まだ、お代わりありますよ?」
「はぇ〜……」
五月五日はこどもの日。
ついでに言うと、しょうぶの日でもある。
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