プロローグ

 

 火星。ギリシャ神話の軍神アレスに由来する赤の星。

 古来この星は戦いの星とされ、その色は血の色の赤と呼ばれた。

 限定戦争。それは戦争放棄を名目に生み出された、商業化された戦闘興行である。

 VCa0年以降はVR(バーチャロイド)と呼ばれる巨大人型戦闘兵器が用いられる、大規模なものへと発展していった。人々はモニター内で繰り広げられる戦争イベントを眺め、ガジェットと化したプロパガンダや理念を謳い、スキャンダラスな煽動に打ち興じ、あるいは単に破壊や殺戮への渇きを癒していた。

 テラフォーミングに失敗し、赤い砂塵の広がる火星。この不毛の荒野で日夜繰り広げられる限定戦争。企業国家の先導により、血塗られた歴史を刻むこの星で横行する凶悪な犯罪に対抗するため、火星戦域を所轄領域とする特殊部隊として、VCa6年に設立されたのが超越公安組織MARZ(マーズ)である。

 テムジン系を基幹機種とするこの組織は、その圧倒的なまでの戦闘力から火星上で主力を形成する公認軍事組織からも恐れられている。

 そして、VCa9年。見捨てられた赤の星で、再び歴史は大きな胎動を見せた。

 

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