第二章 木星圏は波乱に満ち

 

 リバースコンバートとは、Vコンバーターに強烈な負荷をかけることにより、Vディスク内に記録されたデータが周囲に再構成することで、実体化される現象のことである。基本的にVRはこの方法で生産されている。

 定位リバースコンバートとはその技術を応用し、所定の位置の座標を定位した後、VRをその座標に遷移させ、転送するシステムである。

 VRを遠隔転送し、緊急展開が可能なこのシステムを備えた強襲母艦は、その任務の性格上打撃艦隊『フォース』の中核を成し、火星圏のみならず、地球圏や木星圏にも配備されている。

 

 アイゼルスターの艦内では、VRの出撃準備に大勢のスタッフが走り回っている。

「いい? 相沢くん」

 そんななかで祐一は、香里から自分のテムジンについての説明を受けていた。祐一のテムジンは木星圏への出撃に合わせ、指揮官用の707S/Vに強化されているからだ。

「この間の戦闘で問題と思われる部分に改修を施してみたわ。少し装甲を強化してみたけど、余り過信はしないでね。一応機動性のほうも手を加えてあるから、操作感覚は前とそう変わらないと思うけど」

「祐一さん」

 香里の脇から栞が顔をのぞかせる。栞は本来司令本部での後方勤務が主なのだが、ソフトウェア関係の知識を活かしてVRの武器の出力調整などを行う整備スタッフの一員でもある。もっとも、その背景には慢性的な人手不足というMARZの台所事情もあるが。

「スライプナーの調整が終わりました。一回の出力は前より少し落ちていますけど、その分パワーが持続するようになっています」

 だが、祐一の表情は浮かない様子である。

「どうしたのよ? 相沢くん。せっかく改修してあげたのに……」

「いや、そのことについては感謝してる。俺が気がかりなのは……」

 祐一は同じく出撃準備に忙しい名雪のエンジェランを見た。名雪も本来は栞と同じく後方勤務なのだが、バーチャロン・ポジティブ値の高さからVRパイロットとなっているのだ。

 

 火星戦域で標準的に使用されているエンジェランは、支援攻撃に主眼を置いた機体が主であるが、MARZに所属しているエンジェランWMは近接攻撃に重点を置いた機体で、特に『化鳥』と呼ばれている。

 それというのもMARZは基本的にVR単機での運用が基本となるため、エンジェランWMは近接戦闘も遠距離攻撃もこなす万能機となっているのだ。

 

「その心配は要らないと思うわよ」

 香里はため息混じりに言った。

「あの子の事は良く知ってるし、VRパイロットとしてもかなりの腕前なのよ。それに名雪のエンジェランWMは相沢くんのテムジンよりも性能が高いのよ。名雪とエンジェランの相性のよさを考えたら、心配なのは相沢くんの方だわ」

「あのな……」

 

 VRパイロットの適正を測る数値が、バーチャロン・ポジティブ値である。これは高い数値をもつほど、Vクリスタルの持つ精神干渉作用(バーチャロン現象)を受けにくい性質を持つことを意味している。また、面白いことにVRにも個性のようなものが存在し、パイロットとの相性によってVRの性能が変わることがある。

 

「それに、これは名雪の望んだことでもあるしね……」

「そうなのか?」

「この間のあれよ……。あの子、それですっかり参っちゃったみたい。北川くんがあんなことになって、相沢くんまで同じ事になったら、って思うのはわかるんだけど……」

 全ては俺がふがいないせいか、と祐一は小さく呟いた。そのせいで名雪を危険な目にあわせてしまうことに、祐一は自分で腹が立った。

 もっとも、名雪とはいとこ同士という間柄で、今のところ特に恋愛感情と言うものはない。ただ、二人とも親元から離れて暮らしているため、その意味では家族と言うものだろう。

 そうこうしているうちに出撃時間となり、二人はアイゼルスターより遠く木星戦域に転送された。

 

 木星圏において主力となっているのは、公認軍事組織のRNAである。RNAはかつて地球圏でも最大規模の企業国家であったDN(ダイナテック=ノヴァ)社が保有していた軍事組織を前身とするDNAと違い、組織としての勃興そのものが定かになっていない。

 オペレーションムーンゲートと前後して起きた、DN(ダイナテック=ノヴァ)社が保有する8つのプラントの一斉売却、独立に伴うDN(ダイナテック=ノヴァ)社の崩壊後、地球圏で最大規模の企業国家となったのが、第8プラントを前身とするFR‐08(フレッシュリフォー)と、第4プラントを前身とするTSCドランメンであった。

 FR‐08(フレッシュリフォー)DU‐01(ダンシングアンダー)MV‐03(ムーニーバレー)DD‐05(デッドリーダッドリー)RP‐07(リファレンスポイント)と協力して積極的なDNAへの支援を開始し、TSCドランメンはTV‐02(トランスヴァール)SM‐06(サッチェルマウス)と協力してRNAへの支援を開始した。こうしてVCa4年に勃発したオラトリオ・タングラム戦役時には、DNAとRNAの二大軍事組織と、FR‐08(フレッシュリフォー)とTSCドランメンの対立と言う図式が強調されるようになった。

 

 その後火星圏でマーズクリスタル、木星圏でジュピタークリスタルが相次いで発見されることにより、テラフォーミング半ばで放棄されていた火星が再び注目を浴びるようになった。火星圏に進出した企業国家の先導により、火星は限定戦争の場として整備しなおされ、二つのクリスタルを巡る争いは木星圏を含む広大な戦域で開催されることになる。

 これが、俗に言う『木星継承戦争』だ。

 VCa8年に入るとジュピタークリスタルの活性度が増し、戦闘結晶体アジム&ゲランと呼ばれる存在が危険視されるようになる。そこでTSCドランメンは彼らの侵入を水際で阻止するべく、打撃艦隊『フォース』を率いて木星圏へと進出した。そこでMARZは木星圏におけるフォースの活動保障と引き換えに、今回の事件に関する情報提供を求めていた。

 祐一たちはTSCドランメンの総帥を務め、事実上RNAを統括し、フォースを率いて木星継承戦争を遂行中のオーバーロードの配下である、特務小隊『薔薇の三姉妹』と接触するべく敵戦線を疾駆していた。

 

 薔薇の三姉妹は本来オラトリオ・タングラム戦役におけるアジム現象の対抗策として、事象観測を行うために、TSCドランメンにより編成された特務小隊である。女性パイロットながら対アジム戦で鍛え抜かれた戦闘力は侮りがたく、その容赦ない戦いぶりと、筆頭を務める女性の嗜好から、俗に『毒ジャム三姉妹』とも呼ばれている。

 一応RNAの所属であるが、その実態はドランメン総帥直属の懐刀とも言うべき親衛部隊で、乗機をマイザー系に統一することにより、圧倒的なまでの機動力を有する部隊となっている。

 

 祐一たちは、かつては資源採掘の際に使われたであろうドッキングポートや、資材置き場でRNAの部隊と交戦した。前線で主力を形成するVRはTV‐02(トランスヴァール)製のアファームドと、SM‐06(サッチェルマウス)製のマイザー、スペシネフであった。

 

 アファームド系のVRは良くも悪くも実用一点張りで、それだけに信頼性も高く兵の人気も高いVRである。火星戦域で標準的に使用されているアファームドは、機動性能や格闘戦性能に重点を置いたアファームド(ザ・ジャガー)と、支援砲撃等の火力を重視し、装甲を強化したアファームド(ザ・タイガー)の二系統が存在する。いずれの機体も装備換装により、前線のさまざまなニッチェに対応できるのが魅力の一つである。その意味ではテムジンが主武装であるスライプナーの、最も効率のよい移動ユニットにすぎないのとは対照的であるといえる。

 

 マイザー系のVRはオラトリオ・タングラム戦役で勇名をはせた、SM‐06(サッチェルマウス)製の可変VRサイファーの後継機である。スケルトンを強化することで機体の剛性を増し、結果的にサイファーよりも機動性の面では劣るものの、どのような状態からでもSLCダイブを繰り出すことが可能となり、その意味では徹底した一撃離脱戦法を得意とするVRに生まれ変わったと言っても過言ではない。

 ただ、マイザーは戦術偵察用に開発されたバイパー系列に端を発するVRであるため、装甲が貧弱なのが唯一の欠点である。

 

 スペシネフ系のVRは、他のVRと比較してもひときわ異彩を放つ存在である。機体背面部に装備された翼はEVL(イビル)バインダーと呼ばれる特殊装備で、戦場に漂う負の想念をエネルギー源とし、パイロットの憎悪を増幅することで機体性能を飛躍的に向上させるのである。火星戦域で標準的に使用されているスペシネフは特にその面が強調されており、アンデットコンバーターの採用によって、通常VRには悪影響が出る火星戦域でもほとんど変わらない機体性能を発揮することができる。

 その意味においては、パイロットの精神を安定させるマインドブースターを装備したテムジンとは対照的であるといえる。

 

 火星戦線でのDNAもそうだったが、木星圏のRNAもMARZに対する敵意を隠そうとしなかった。それは本来競合するはずの組織が、同一の目的で行動しているということである。どうやらMARZ当局が追うターゲットの影響力は、予想以上の広範囲に及んでいるということだ。

 祐一たちがいくら陽動部隊であるといっても、前線を形成するRNAの部隊は層が厚く、祐一は何度か苦汁をなめることになった。だが、名雪の適切なサポートの甲斐あってか、なんとか会合地点であるエレベーターシャフトに到達することができた。

 

 そこに待ち受けていたのは、三機のマイザーΔ(デルタ)であった。

『薔薇の三姉妹筆頭、水瀬秋子』

『同じく、神尾晴子』

『霧島聖だ、よろしくな』

 そう名乗る三人に、祐一は耳を疑った。

「なんだって……?」

『お……お母さん……』

 祐一の声がかすれる。そして、それはきっと名雪も同じ気持ちであったに違いなかった。

『そう……あなたたちがお客様……』

 秋子のマイザー、フェアービアンカがゆっくりと祐一たちに近づいてくる。

『総帥閣下には失礼の無いように言い付かっていましたが……』

 そこで秋子のフェアービアンカはすっと背を向けた。

『私たちにも客を選ぶ権利と言うものがあります……』

 フェアービアンカが振り向いた瞬間、祐一は確かに睨まれたような感覚を覚えた。

『試させてもらうっ!』

 フェアービアンカは名雪のエンジェランめがけて飛び込んできた。フェアービアンカは右腕のマルチランチャー『レブナント』をエネルギーソードにして切りかかってきた。

 咄嗟に名雪も対偶の法杖『化鳥』で受け止める。両者の戦いは一進一退を繰り返し、傍目には互角の攻防戦を繰り広げていた。

「名雪っ!」

 祐一は咄嗟にテムジンを名雪のエンジェランに向かって走らせようとした。だが、その目の前を一条のバルカンで牽制される。

『どこを見ている』

 聖のマイザー、シャルロッテがコールドダガーを構える。

『お前の相手はうちらやで』

 晴子のマイザー、エヴリンがSLCダイブで突進してくる。

「くっ……」

 このままでは名雪の援護ができない。しかも晴子と聖の息のあった連携攻撃に、祐一は終始押され気味であった。

 向かってくるSLCダイブをかわし、コールドダガーで足止めされる。祐一も奮戦するが、この二人に翻弄されっぱなしだった。

『このままじゃ埒があきません。あのトロい方から先に始末しますよ』

『OK!』

『なに?』

 秋子の呼び声で三機のマイザーが一斉にSLCダイブに入り、名雪のエンジェランめがけて突撃した。

『きゃあっ!』

 三姉妹の集中攻撃を受けたエンジェランは力尽き、倒れた。

『敵機、撃破』

「名雪ぃっ!」

 祐一は吼えた。その後の戦いぶりは三姉妹をも圧倒するものだった。

『しまった……』

 晴子の撃退に成功した祐一が、秋子のフェアービアンカに狙いを定めた直後だった。

『そろそろ時間ですね、二人とも引き上げますよ』

 そう言うと秋子はフェアービアンカを変形させ、飛び去っていった。

『ええ?』

 なんとか立ち上がった晴子のエヴリンも、不承不承ながらそれに続く。

『その子の事なら心配はいらない。たぶん命に別状はないだろう』

 エンジェランの損壊状態を見た聖はそう言った。

『ただ、手当てが遅いとどうなるかは知らんがな』

 こうなると祐一も戦闘を継続するわけにはいかない。黙って聖の話に耳を傾けるほかはなかった。

『それよりも、ダイモンフラグメントと言う言葉を覚えておくといい』

「ダイモンフラグメント……?」

『ダイモン、謎は月にあり……と言ったところか……』

 最後に意味不明の言葉を残し、聖のシャルロッテも飛び去った。

 

 幸いにして名雪の怪我は、エンジェランの損壊状態の割には軽傷といえた。だが、名雪にこの傷を負わせたのは実の母親である。体の傷は軽くても、心に負った傷はどうなのだろうか。それを考える祐一の胸が少し痛んだ。

「三姉妹との戦闘は予想外だったわね……」

 回収艇から姿を現した香里が、悲痛そうな表情で言った。エンジェランの損壊により名雪の任務継続は困難であるため、一時帰還の命令が出されたのだ。それにより祐一には新たに僚機が派遣されたのだ。

「ダイモンフラグメントについては本部に調査を依頼しておくわ。それと、相沢くんに紹介しておくわね」

 香里の後ろから姿を現したのは、意外な人物だった。

「真琴じゃないか」

「あう、祐一〜」

「どうしてお前がここに?」

「名雪の代わりの僚機よ」

 香里が答える。

「それから、相沢くんに任務よ」

「任務?」

 人使いが荒いな、と祐一は小さく呟いた。

「この近くのジュピタークリスタルの活性値が異常に上昇しているのよ。困ったことにその近くに展開している部隊がなくて、一番近いのがわたしたちなのよ」

「それで?」

「即刻クリスタルエリアに赴いて事象の観測、およびアジム&ゲランの実体化を阻止して。これはフォースの司令官からの要請でもあるわ」

「わかった」

「それと、これは悪い知らせよ」

 香里の表情は暗く沈んだ。

「そこに行くまでの経路上にRNAの部隊が展開してるのよ。当局側の説得に耳も貸さずに徹底抗戦を叫んでいるわ。だから、もう実力行使しかないのよ」

 流石にそれはちょっときついかな、と祐一が思ったときだ。

「大丈夫よ」

 真琴が胸をはった。

「真琴のフェイ=イェンがあれば大丈夫よ」

「フェイ=イェンね……」

 祐一はふと真琴の愛機であるフェイ=イェンVHを見上げた。

 

 女性型のフォルムを持つVRとして、エンジェランと並んで有名なのがフェイ=イェンである。MARZに配備されているフェイ=イェンVHは、通称『ビビッド・ハート』と呼ばれているタイプである。左手に装備したレイピア『愚者の慈愛』による近接攻撃と、遠距離までカバーできる胸部ブレストランチャーのハートビームにより、近接戦闘から遠距離戦までこなす万能機となっている。

 機動性能を重視しているために装甲はやや薄めだが、一定以上のダメージを受けることによりエモーショナルモードが発動し、シークレットパワーが起動して攻撃能力などの数値がアップするのが特徴である。

 

 クリスタルエリアへと至る坑道は、すっかり荒れ果てていた。かつては活気があふれていたであろう採掘基地も、今は見る影も無く朽ち果て、限定戦争の戦場となっている。

 迎え撃つRNAの戦線を打ち破り、祐一たちはクリスタルエリアへの進出を果たした。だが、祐一たちの侵入によってクリスタルの活性値は臨界状態となり、やがてそれは男性型のアジム、女性型のゲランとして実体化した。

 

 戦闘結晶体アジム&ゲランは、Vクリスタルを介して現出する異界からの侵入者である。アジムはオラトリオ・タングラム戦役においてたびたび出現し、稼動中のVRを破壊していた危険な存在であった。長らくその正体は不明とされてきたが、その後の地道な調査により、ジュピタークリスタルに由来するものであることが判明した。その対抗手段としてドランメンにより編成されたのが打撃艦隊『フォース』である。

 

 アジム&ゲランの攻撃は熾烈だった。追尾性の高い八面体構造の小型光弾、まだらもようの球体、命中すると武器が稼働しなくなる封印弾。そして、驚異的なのが、二体が合体してクリスタルになったときに発射される拡散レーザーだ。

「くっ……」

 その攻撃をなんとかかわしてはいたものの、祐一は有効な打開策を見出せずにいた。だが、二体が合体してクリスタルに変化する瞬間に攻撃がやみ、その間だけ無防備な状態にさらされることが見て取れた。

「真琴っ!」

『オッケーッ!』

 祐一たちはそのわずかな隙を狙って攻撃を仕掛けた。やがてアジム&ゲランの実体化は解かれ、まばゆい光と共に消滅した。

「なんだ? あれは……」

 そのとき祐一は、宙に浮かんだジュピタークリスタルが、黒い大きなものに吸い込まれていくのを見た。

『MARZの犬よ……』

 不気味な通信が入った。

『このあたりで騒がれるのは疎ましい……。しばらくよそで遊んでおいで……』

 そのまま祐一は、意識を失った。

 

「お姉ちゃん、あれ!」

 回収艇を操る香里は、栞が示したモニターの一点を見つめた。

「これは……真琴のフェイ=イェンだわ」

 早速香里は艇を寄せ、回収作業に入った。

「それで、何も覚えていないの?」

「あう〜……」

 香里の鋭い口調に、真琴は思わず身をすくめた。別に香里も真琴を責めるつもりはないのだが、不思議なことになぜかこうなってしまうのである。

 こういうとき名雪だったらもう少しうまく聞けるんだろうけど、と香里は思うのだが、今はないものねだりをしている場合ではない。

「真琴にもよくわからないのよぉ〜……。いきなりぴかって光ったと思ったら、こんなところにいるし……」

 そう言うと真琴は、再びあう〜とうなだれてしまった。

 確かにこれ以上の質問は真琴には(こく)である。だが、一刻も早く祐一の所在を突き止めなくてはならない。それだけに香里の気はあせっていた。

「お姉ちゃんっ!」

 そのとき、栞が部屋に飛び込んできた。

「どうしたの、栞」

「今、真琴さんのフェイ=イェンを調べていたんですけど、大変なことがわかりました。どうもVRのMSBSが何者かによるハッキングを受けた模様です」

「ハッキングですって?」

 香里は眉を寄せた。MSBSはVRのオペレーションソフトとして稼働しているもので、それには正常な稼動を目的として高いレベルのセキュリティが設定されている。ハッキングを行うにはそれを突破しなくてはならず、その意味では事実上不可能である。

 だが、栞の示したデータには、しっかりMSBSへの介入の跡が記録されていた。それの意味するところは、二人が接触した相手というのが相当高いレベルの情報戦争遂行能力をもっているということになる。

 それを考えた香里の表情が青ざめた。

「それと、祐一さんの居場所が判明しました」

「相沢くんはどこにいるの? この近くなの?」

 栞は香里から目線をそらし、遠くを見つめた。

「地球です」

 

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